幸せは意外と安い
いつぞやのブログにも書いたが、私は自分が幸せだと感じられる生活が一体いくらで実現可能なのか計算したことがある。
そしてそれを計算するためには「自分にとって何が幸せなのか」がはっきりと形になって見えていないといけない。
当時は会社に行くのが嫌で嫌で仕方がなかったので、とにかく仕事に行かなくても生活ができるならそれだけで幸せだと思っていた。
海外旅行に行くわけでもないし、高価なブランド服を買えるわけでもないが、休日は趣味のインターネットやオンラインゲーム、本などがあれば意外と満たされていたのである。
つまり、日々の家賃や水道光熱費、食費などにプラスして、ネットの固定回線と少々のお菓子代があればよかった。安いものである。
しかし、数年後にはもっとコスパの良い幸せを発見することになる。
とある初夏の休日、その日はとても気持ちのいい朝だった。
当時はワンルームの間取りで、ベッドのすぐ側に窓があり、暑い夜なんかは二階であるのをいいことに開け放したまま網戸だけで眠っていた。
朝になると、気持ちのいい風が窓から入ってきてレースのカーテンをふんわりと揺らした。そのなびく陰が、射し込んだ日の光と交互に私の瞼の上で踊った。
当然、目覚まし時計はセットしていなかったが、スッキリと目覚めることができ、完璧で最高な朝だった。
「ああ、幸福だなあ」
つぶやくともなく、つぶやいていた。
昼下がりになるとますます日は高くなって、洗濯物を干すためベランダに出ると、少し汗ばむくらいの陽気だった。太陽の当たった場所に熱を感じながら、物干しハンガーに洗いあがった靴下を一個づつぱちんぱちんと挟んでいく。
太陽を見上げてまたつぶやいた。
「幸せだなあ」
本当は、風に揺れるレースカーテンを見た時からビビッと来ていたのだ。
自分の求めていた「幸せな生活」に必要な物を見つけた!と感じた。
気持ちのいい朝、風と日の光で目覚めること。
そして、お日様の下で靴下を干すこと。
思わず「ああ、しあわせだなあ」とつぶやいてしまうこと。
もう10年もたつけど、あの時の幸福な気持ちはいまだに覚えていて、そんな一日をまた迎えたいと思っている。
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